TOP  » IVY REPORT 概要  » 社長訪問・企業探訪 vol.05


社長訪問・企業探訪

ニチエ株式会社 代表取締役社長吉田秀行氏

今回ご紹介するニチエ株式会社は、1947年、現在も本社拠点をおく大阪市淀川区で、専門家用油絵具の製造販売の会社 として、日本絵具(株)の名称でスタートしました。

その後、看板用各種塗料も製造するメーカーに事業を拡大し、メッセージを鮮やかに 伝えるアド資材(看板などの宣伝用資材)を開発・提供するメーカーに成長。第60期には、営業利益がそれまで前年対比が6年間続いて下降傾 向にあったところに歯止めを打ち、年頭の社長所信表明で社員に約束した社員旅行を、全員で楽しむことができました。

自ら「研修大好き人間」と話す吉田社長。業績回復の原動力となったのはもちろん社員一人一人のたゆまぬ努力でした。 ここ数年のニチエ株式会社における人材育成・社員教育について、お話をお伺いしました。

(以下 Y:吉田氏、I:アイビースタッフ)

I :まず、創業のころから現在にわたって、会社として大切にしておられる姿勢などについてお聞かせください。

Y:創業以来一貫して「会社だけが儲かれば良いというのではなく、販売店様も儲かり、その先のお客様にも満足してい ただく企業でありつづけたい」という姿勢を第一にしてきました。父から事業を引き継ぎ、現在3代目としてこの企業を経営していますが、 「経営者は社員の生命と財産を守る」を確固たる信念として、社員が活きる事業を実践したいと思っています。会社は人間磨きの道場であり 、経営者は、社員が共に日々学び教えあい成長していくために、会社という道場を提供しているにすぎない、というのが私の考えです。

I :「人間磨きの道場」‥‥。そのお考えを基盤に、ここ数年実践してこられたのが、「ニチエ人間塾」ということになるのでしょうか。

Y:そうです。ニチエの社員は、会社員である以前に人間として成長していてほしい。それが私の願いです。2年程前 から開催したニチエ人間塾では、小田全宏さんをお招きし、月に1度ですが、「人として大切なこと」について社員の学びの場を設けました。

I :社員のみなさんの反応は?

Y:それまでどんな研修も「研修なんて」と、研修をばかにしていた手ごわい社員たちもいたのですが(笑)、小田さん の存在そのものや、関西人特有のおもしろいお話にはさすがに圧倒されたようで、そういう社員でさえ「楽しい」「勉強になる」という感想が 返ってきました。

I :そういった「人として」根源的な部分から、社員教育の構築を手掛けられたのですね。 その一方でニチエ鰍ナは、その社員の仕事の仕方や考え方・反応の傾向、今の状態などについて、年1回コンピュータで分析し、 それを参考になさっているとのことですが。

Y:そうです。こちらはもう、導入して5-6年になるでしょうか。その人が今置かれている状況や仕事の仕方が把握 できるようなソフトを活用するようになりました。それで全てを把握しているつもりは全くありませんが、一つの判断材料として参考に しています。

I :精度や使い心地のほどは‥‥?

Y:これが意外と使い勝手がよくて(笑)。自分に向けられる評価や指導について、「社長は思い込みで言ってるだけじ ゃないんだ。」という納得感みたいなものが、より高まったようですね(笑)。

I :「人間としての教育の場」と「コンピュータによる分析」‥‥非常に対比的ですが、ともに社員の皆さんを納得させ、向上させる きっかけとなっているのはおもしろいですね。

Y:そうですね。そういう意味では、第60期の社員への所信表明では、「今年度が歴史ある会社の節目でもあり、 上昇できる最期のチャンスだ。儲かっていようがいまいが、来年は全員で社員旅行に行く。」と私自らが断言したわけですが、「どうせ行く なら気持ちよく行きたい。」と社員全員が一致団結して営業成績を向上させてくれたことには、大変感謝しています。が、その話の中で、 私は同時に「今の変革の時代について来れない者は、置いていく。」という非常に冷たいと思われる側面も前面に出しました。

I :社員の皆さんも非常に仲がよく、社長もいつもにこやかでおやさしいニチエでは、これまで考えられなかったようなできごとでしたね。

Y:そうです。社員もショックだったと思います。けれど、その効果か、ここ数年開発力が落ちていたニチエの ブランド力は今年一気に向上し、業界で「ニチエは今元気がいい」と言っていただけるように成長しました。数字的にも業績が向上しま したが、その原動力はやはり、社員全体の能力が底上げされてきたからだと思います。「緊張と緩和」の対比を大切にしてきたことが よかったのでしょうか。

I :そういう効果を生み出したい経営者の方々は多いと思うのですが、研修構造の構築については、いつも社長お一人で考えられるの ですか?

Y:社長業というのは、“自分より有能な人”を使うことができる、それがおもしろいんですね。研修についても ちろん私が自分で考える部分もありますが、社員の意見や情報も活用しています。誰からでも何からでも学べるし、何でも勉強だと思える、 最近の私はそういう心の状態に至っているような気がしています。

I :ありがとうございました。社長を先頭に、ニチエ(株)の成長への道筋が構築されていく姿についてお伺いできたように思います。 今後ますますのご成長を楽しみにしております。

取材後記

今回の取材では、人事という立場でニチエを牽引する後藤洋子氏も同席してくださいました。社長とのバランスは、 まさに「互いにないところを補い合う」関係。社員の能力を最大限引き出し、活用する吉田社長の「社長力」の高さを改めて拝見した思い でした。ニチエのご発展をお祈りしております!‥‥ちなみに、第60期の社員旅行は、ハワイだったそうです。

経営羅針盤

当社代表の吉田によるコラム。気になる経営の話題を鋭い視点で解説します。
経営羅針盤をみる

アイビーズ・アイ

研修企画コーディネイター・堀による企業研修・セミナーなど人材育成の現場にまつわるコラムです。
アイビーズ・アイをみる