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社長訪問・企業探訪

株式会社イズミヤ総研 代表取締役社長清水正博氏

「ええもん高いのはあたり前、ええもん安いのはイズミヤ」のキャッチで関西在住の方には馴染みの深いイズミヤ。「関西深掘 (かんさいふかぼり)」をモットーに、一部例外を除き関西圏に絞って事業を展開しています。業界全体の傾向として「営業利益率の 低さ」が課題となる小売業界にあって、「利益なき繁忙」に留まらない小売業を目指し、人材の育成にも非常に力を入れてきました。

株式会社イズミヤ総研はそのイズミヤグループの人材育成の一翼を担っています。2006年度から「教育立社」を掲げた同グループ。 一部の経営幹部だけでなく、現場リーダーや部門長の実力向上が会社ひいてはグループ全体の体力増強の鍵となる、という考えの 下実施している「商人塾」(2002年開塾)と、「全心塾」(2005年開塾)の取り組みについてお話を伺いました。

(以下 S:清水氏、I:アイビースタッフ)

I :商人塾(あきんどじゅく)や全心塾(ぜんしんじゅく)は、最近卒塾生が現場で活躍しておられるようですが、まず、開講された当時 の目的や期待などについてお聞かせいただけますか?

S:当時は2000年に400名の希望退職を募ったところで、経営環境はなかなか厳しいところにありました。そのような中で、次世代の会社 を引っ張り、改革のリーダーとなる人材を育成することを目指し、イズミヤ本体の一種の選抜教育として開始したのが商人塾です。 全心塾は、関連会社からの希望を吸い上げる形で、商人塾の関連会社版として、2005年にスタートしました。両方共「自ら考え行動できる」 中堅社員を育成するためのものです。

I :2006年度スタートした中期3ヵ年計画「ダッシュ120」の策定にあたっては、卒塾生もその策定に携わったそうですね。自分が勤める 会社の経営計画の策定に関わることができるというのは、若手中堅社員にとっては、非常によい刺激であり経験となりますね。

S:そうです。慶応大学SFC研究所の調査では、20代の若手社員の“成長実感”に最も大きな影響を及ぼしているのは、 「主体性指向」だという結果が出ています。「仕事において自分なりの見解を持って取り組んでいること」が労働の質を上げ、本人と企業双方 によりよい結果をもたらすといえるでしょう。「ダッシュ120」の策定にあたっては、本社や関連会社の中堅社員層以外にも、店舗のパート タイムスタッフも含め、総勢70名が様々な形で計画の策定に参画しました。「仕事において自分なりの見解を持って取り組む」ということ を具現したひとつの形かもしれません。

I :弊社は商人塾の「ディベート」の枠を担当させていただきました。カリキュラム全体は御社で独自に開発されていますが、根幹をなす 育成方針についてお伺いできますか?

S:基本的に、「教えない」塾です。「人は教えられるとバカになる」という言葉もありますが、大事なのは、自分で自分を 育てる、自らが学ぶ力を養う、ということです。商人塾では 「教わったことを職場に帰ってそのまま実行すればよいということではない」 ということを必ず伝えています。聞いた話を、常に自分を主人公に置き換えて考え、行動に移すことこそがマネジメント能力の向上に繋が る、という考え方を基盤に、カリキュラムを編成し、成長のステップを踏んでもらっています。

I :商人塾、全心塾ともに、卒論もあるそうですね。

S:卒論は、社長はじめ経営幹部の前でプレゼンテーションしてもらいます。“論文”といっても学術論文ではなく、 プレゼンテーション自体とその内容を重要視しています。塾での期間を通して、一定の時間枠の中で経営幹部の前で発表できるレベルまで、 塾生を鍛えていきます。入塾の最初の頃は、時間内に終われなかったりあまりの緊張で内容もガタガタになるような社員が、最後には皆、 非常に立派なプレゼンテーションをします。

I :卒塾後も情報交換や合同研修会で交流があるそうですね。

S:そうです。現役塾生が先輩から意見やサポ-トをもらうこともできる環境になってきています。 イントラを活用したり、当人同士で横の繋がりが強まるような自然な流れが育まれつつあるのは、非常にありがたいことだと思っています。

I :今後ますます若い人材の確保が難しくなる中では、研修制度が充実しているだけでなく、そういった横の繋がりの強さや、先輩と の交流が中長期的な人材確保の成否をわけてくるはずです。自然な流れで今の形が育まれつつあるのは、理想的ですね‥。

S:若手の社員に限ったことではありませんが、企業で働く人には実に様々なタイプがあります。企業に対する忠誠心 が非常に低い場合もあるでしょう。しかし忠誠心が低いからといって能力も低いわけではない。全ての人材にしっかり力を発揮してもらえ るような環境を作っていきたいと考えています。

I :それでは最後に、イズミヤグループの「教育立社」の今後の流れについてお教えください。

S:「人材育成」こそが会社の盛衰を決める、というトップの強いリーダーシップの下に掲げられた方針です。 人材育成を常態とする企業風土にしていこうという方針を明確にしました。進め方の基本は

  1. 全員参加で間断なく
  2. 人材育成に情熱を持つ人を高く評価する
  3. 一人の百歩より百人の一歩

を実現させることにあり、2006年においては相当の進捗がみられました。特に新入社員、部門長、バイヤーに焦点をあて、今後も 若手社員から幹部にいたるまでの育成を強化していく予定です。

I :ありがとうございました。今後の成果を心から期待しております。

【商人塾】
2002年開塾、約8ヶ月全12講座。内容は多岐に渡る。2006年末で8期約160名が修了している。

【全心塾】
2005年開講。塾の名称は関連会社各社の会社方針に謳われている「安全・安心」からとって「全心塾」となった。 常に一歩前への意味につながる「前進」にも因んでいる。約6ヶ月全6講座と一泊二日の課外講座で、カリキュラムは商人塾より絞り込まれた ものになっている。

取材後記

企業の状況によって、社員に提供できる研修はかわってくることでしょうが、基本は「トップの姿勢」と研修企画担 当者(中小企業ではそれも社長、ということも多いと思います。)の「知恵」。そこに社員本人の「成長したい」という気持ちが重なること で真の成長が生まれるように思います。今回の取材で印象的だったのは、研修の目的が非常に明確であることと、適切な科目内容・プロセ スを選択しておられることでした。「できることからこつこつと」。御社でも、小さな取り組みから始めてみませんか?

経営羅針盤

当社代表の吉田によるコラム。気になる経営の話題を鋭い視点で解説します。
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研修企画コーディネイター・堀による企業研修・セミナーなど人材育成の現場にまつわるコラムです。
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