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経営羅針盤

イノベーションを起こす思考

今回は、企業の中で“イノベーション”を起こすための思考プロセスについてお話ししたいと思います。

思考プロセスには、理性によって説明できる、筋の通った「分析的取り組み」と、矛盾に満ちて筋も通らず、あいまい模糊とした 「解釈的取り組み」があります。これらの二つの思考を相互に調和させることこそが、“イノベーション”を持続させるための鍵と なります。(詳細は『イノベーション』リチャード・K・レスリーマイケル・J・ピオ−リ著 生産性出版 をご参照ください。)

「分析的取り組み」は、データを収集・分析する手法で、理解しやすく、本質的に合理的です。しかしこれだけで良いのでしょうか? 例えば、「顧客の声をよく聴くこと」は、新商品開発にとっては重要なポイントですが、顧客は、自分が何を必要とするかに気づいていな いことも極めて多く、それどころか顧客にとっては、製品の市場ニーズを予測するなど、まったく考えつかないこともあるのです。

クライスラー社が新たなミニバン車の開発に着手した時、2つの制作チームを作りました。第一チームは顧客の声を系統的に収集・ 分析する「分析的取り組み」に基づいて開発を進め、第二チームは「腹で感じることに従う」「直感的なプロセスを大事にする」、つま り、「解釈的取り組み」に基づいて開発を進めました。

結果的にこの第二チームの取り組みが、新しいミニバンの成功につながりました。 車の左側にスライドドアを取りつけるアイデアは、今までどの会社も採用したことがなく、かつ、市場調査を経て浮上した案でもないに もかかわらず、デザインチームが強く主張したことで、最終的に採用することになりました。結果的には、新型ミニバンを購入した全顧客 のなんと85%が、スライドドアを注文したのです。

こういったエピソードからもわかる、二つの思考プロセスの相違点を、下にまとめてみ ました。我々は、今まで若干軽視しがちであった「解釈的取り組み」に、もっと力を注がなくてはならない、といえるのではないでしょう か。その際のキーは、《対話》です。《対話》のきっかけを設定し、互いの理解や意思疎通を促すことこそが、重要なのです。理屈だけで は整理できない、曖昧さとの対話から生まれるものを最大限活用し、企業の中に“イノベーション”を起しましょう。

製品開発に対する取り組みの相違点

分析的取り組み解釈的取り組み
プロジェクトに焦点をあてる。 開始点と終結点が明確である。 プロセスに焦点をあてる。継続的で際限なく、終わりもしない。
問題解決を重視する。新しい意味の発見を重視する。
マネジャーは目標を設定する。マネジャーは方針を決定する。
マネジャーは会議を召集し、関係者間の交渉によって、見解の相違を解決し、曖昧さを取り除く。 マネジャーは対話を推奨し、異なる意見を許容し、曖昧さに検討を加える。
コミュニケーションは情報の正確な交換である。コミュニケーションは流動的であり、状況に応じて変化する。
デザイナーは消費者の意見に耳を傾ける。デザイナーは消費者の要望を知るために、直観力を養う。

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