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経営羅針盤

意を持って意を注ぐ

「有意注意」とは「意を持ち意を注ぐ」ということで「目的を持って真剣に意識や神経を対象に集中させる」ことを意味しています。 今回はこの「有意注意」についてお話ししたいと思います。

以前友人とともにリピート客が多いと評判の日本料理店に出かけました。白木のカウンターとテーブル4つの小料理屋さんです。

私達が入ると15-6名になり、ほぼ満員となりました。料理人兼店主は60歳前「いらっしゃいませ!」の大きな声が印象的です。

やがてお酒と料理が並べられ、私達はすっかりくつろいで談笑し、料理やお酒に舌鼓を打っていました。が、ビールが残り少なくなる と「おかわりはいかがですか?」とさっと次のグラスを勧めてくれます。そのあまりのタイミングの良さに思わず少し周囲を観察して みると、それぞれの客が飲むペースに上手くあわせて、お酒をすすめているのがわかります。料理についても同じ。その人その人のペ ースにあわせて、料理を出しているようです。友人に尋ねると、料理が美味しいのはもちろんだが、このタイミングの良さがリピート 客の多さに繋がっていると思う、とのことでした。

そうでなくとも忙しそうな店主に申し訳ないと思いつつ、とても興味深く思った私は質問を投げかけました。「料理やお酒、お絞り を出すタイミングがとても気持ち良いのですが、料理しながらどうしてそこまでお客様の動きがわかるのですか?」‥するとこんな答 えが返ってきました。「私はこの仕事を40年続けています。料理を美味しく作り上げるのは当然の仕事です。料理を作りながら絶えず お客様の動きを気に留めることが大事なのです。あのお客様は食べるのが早い、きっとお腹が空いているのだろう。このお客様はビー ルを一気に飲まれた、喉が乾いているようだ。早めに次のビールの用意をしよう。など、お客様の動きを観察しています。16人のお客 様の一挙手一頭足まで見えていないと、この仕事は務まりません。」

まさしく職人芸です!この店主はあらゆる状況をどんな些細な動きも、自分の意識を集中させて見つめているのです。これぞまさに 「有意注意」。

中村天風さんは「意を持って意を注ぐ」ことの重要性を強調されて「有意注意の人生で無ければ、意味がない」とまで言われていま す。私たちの集中力には限界があります。常に意識を一つのものに凝縮することは並大抵ではありません。しかし「有意注意」を習慣 化し続けられれば物事の本質や核心が掴め、的確な判断が備わってくるはずです。

「有意注意」‥難しいことですが、ぜひ実行したいものです。

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