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経営羅針盤

「不易流行」を育む

2007年、新たな年がスタートしました。新年にあたり、「変わらないもの、変わるべきもの」について考えてみたいと思います。

「不易流行」とは松尾芭蕉が提唱した俳諧理念・哲学の一つです。

「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」というのがもともとの文章で、「不変の真理を知らなければ基礎が確立 せず、変化を知らなければ新たな進展がない」ということを意味しています。しかも芭蕉は、「その両者の根元は一つ」であると言っていま す。一歩踏み込んで解説すれば、「不易」とはどんなに社会や状況が変わっても絶対に変わらないもののことで、「不変の真理」を意味し、逆 に「流行」は、社会や状況の変化に従ってどんどん変わっていくものをさしています。

「不易流行」は俳諧に対して説かれた概念ですが、文化や経営にもそのまま当てはめることができます。

もう何年も前になりますが、石川県寺井町で九谷焼を制作している私の友人宅を訪ねました。彼の義父は、九谷焼で文化功労賞を受賞さ れている70歳近くの陶芸家です。その時お聞きした話は、今思ってもまさに、「不易流行」の真髄をついているものでした。

私がその陶芸家に投げかけたのは、次のような質問でした。「昨日石川県美術館で古九谷を見てきましたが、江戸時代の古九谷焼と現在 の九谷焼とは、同じなのでしょうか?それとも異なるところがあるのでしょうか?」‥‥すると彼は静かに、「同じものもあり、異なるも のもあります。」と答えました。続けて、江戸時代の九谷焼と現代の九谷焼の違いを次のように説明しました。「説明します。私には孫が います。孫はドラえもんが好きで、よく一緒にテレビを見ます。これが現代なのです。私はドラえもんから時代性を感じとり、九谷焼に表 現していきます。しかし作り方や描く対象である“花鳥風月”には、さして変わりはありません。しかしそれらを描く表現の仕方が変わるの です。例えば、時代がのんびりしている時は、鶴はゆったりと田んぼで遊んでいます。時代が変わろうとしている時は、今まさに飛び立と うとしている鶴を描くのです。このように九谷焼を見ていくと、いつの時代に作られたがすぐに判ります。変えないものと、変えるものと のバランスが大切です。」

対象物や製作過程は変わらない(不易)が、図柄は、その時代に合わせて変化(流行)させていき、それが今日まで続いている、と、その陶 芸家の説明に私も深く納得しました。

昨今は激変の時代と称され、「不易」より「流行」が重視される傾向があります。が、何が「不易」で何が「流行」であるかをしっかり見極め て、行動したいものです。

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