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最新TA情報

第1号(2003.04.24発行)

本年からTA101を受講していただいた方に、TA最新情報をお送りしたいと思っております。

国際TA協会発行の機関紙「スクリプト」から教育現場でのTAの活用報告です。 著者はTrudi Newton氏。イギリスで活躍されているTAの教育分野のスーパーバイザーです。イギリス、ケンブリッジ大学やロシアの St.ピッツバーグ校で教鞭をとっておられます。

タイトルは「More than Transactional Analysis in Education」(「教育の中のTA」異なる活用)です。TAをセラピーやカウンセリング のための問題解決・原因分析にも用いるだけでなく、精神的に豊かに健康に暮らすための「積極的なカルチャー」を形成するためのツールと して活用するための事例や考え方が紹介されています。

TAの分野には4つあります。教育分野・カウンセラー・臨床・企業です。安部先生も教育分野の准教授です。 ITTAの会員にはカウンセラー・臨床の分野を選考する方が多く、教育分野 の先生は少数派です。 今回はその意味で、教育分野からの提言!!といった内容になるのではないでしょうか

「More than Transactional Analysis in Education」
“教育の中のTA”異なる活用 (要約:堀 監修:安部先生)

ロシアのSt.ピッツバーグ、高校生13歳の午前の授業。真冬の寒さにも関わらず(外は-20度)、私はとても暖かい気持ちになりました。

その最初のセッション;タイトルは「My Choice(私の選択)」で、生徒が思い思いにP・A・Cのイメージを描き、「私って誰?」 に続くことばを5つずつそれぞれの自我状態の横に書いていました。 これは、教育分野のTA研修生(ITAA公認資格を取得するための研修生)で学校の心理学の先生でもあるValentina Bondareva氏と共に 新しく始まった市民プログラムのために創作したセッションの第一回目の光景です。 Valentinaがこのクラスで教えるのは初めてのことでした。

これは「教育分野のTA」の特徴的な取り組みです。「教育現場で、カウンセリングやセラピーを行うためのTA」ではなく、 「教育学的なアプローチのためのTA」は、今後、成長していくと思います。

その目的は健康的な発達の促進と成功です。必ずしも問題解決だけではありません。 これにより、生徒に「人間尊重」といった考え方を発達させ、そのために実際の行動レベルをどうす定着させるのか、最終的には実際の 場で応用していくスキルを身に付けていきます。

この理念を基に、教育現場で実践できる新しいフレームワーク(枠組)が開発され、学校の先生、生徒、親、学校経営者、教育心理学者 、カウンセラー達に提供されています。

私達は、教育者として、このフレームワーク開発に取り組む際に、「分析や問題解決だけでなく「積極的(肯定的)なカルチャー」 形成につなげていくために、どのようにTA理論を盛り込むか」に重点をおいています。

この作業は、子どもを固定して(枠に入れて)しまうためのものではなく、健全な教育社会を一緒に形成するためのものなのです。 特定の子どもや先生に問題を集中させるアプローチは排除し、ホリスティック(全体論的)にワークを探します。 そのために、「うまくいっているときは どんな状態なのか」「うまくいっている状態を創りだしたり、その状態に戻るためには 何が必要なのか」 を考えます。

弱点より持ち前の強みを強化するという点で、ソリューション・フォーカス:Solution Focus(問題解決や解決のためのリソースに フォーカスした簡単なセラピーアプローチ法で、問題探しをしない)やアプリシエーション・インクァイアリィ:Appreciative Enquiry (セラピーや組織等で利用される。既に行っているポジティブなことを認識させ、強化させていく方法)と関連しています。

つまりは、「どのような強みをこの子/先生/親/学校が既に持っているか、そしてどのようして彼らがこの資源を活用することが できるようにするか」といったことです。 この手法は状態を悪化させないための予防にも使えるし、且つ、状態を回復させるためにも使えます。 これらは、TAを「健康のための共通言語」として利用しようというものです。 個人単位だけでなく、社会の健康を維持し、回復するのにも役に立ちます。

上記のことを行う1つの方法に、よく知られているTA理論に代わって「ポジティブ」に活用するTA理論を発展させ教えていくことが あげられます。

MarilynZalcmanは1990年に以下のようなことを書いています。(P17)

健康的なラケットシステムがあるということを理解し、それを定義づけるために、そのコンセプトを発展させることは重要だと思います。 健常な人間の行動をもとにした理論や研究を学び、それをTA理論に組み入れることにより、どのように人間は情報を処理するかについて知る ことができます。 これを行うには、TAの教育分野及び企業分野の仲間の援助が必要です。

こうした考えは多くのTA教育者は既に心に持っていると思います。

TAといったツールを他人へ渡していく過程で、私達は、下記の理論を利用し教えることを目指しています。

  1. オートノミー・システム:自律のシステム(ラケットシステ ムから発展したもの)
  2. 勝者の三角形(Choy、他1990)
  3. ディスカウントレベルに合わせた価値とエンパワーメント
  4. オートノミィ・マトリックス::自律のマトリックス(Hay1997)
  5. アファメーション(Clarke&Dawson1989/1998)
  6. 全てのレベルでのオープンな複数の当事者間のコントラクト(これが最も重要です)

ここで一部ですが、教育での実習事例を紹介します。1つはロシア、3つはイギリスです。

  1. St.ピッツバーグの学校で、学校の心理学者が「コントラクティング(契約)グループ」を形成。 先生、生 徒、親、 シニアスタッフが1ヶ所に集い、コントラクト(契約)の原則を学びそれを応用し問題を解決するために一緒に作業する活動を行う。
  2. ロンドンのある村では学校へ進学する児童を持つ親に綺麗な小包が送られる。 その中には、親を支援するツールが入っており、「子どもが大きな第1歩を踏み出そうとする時に、何が必要でどんな行動をするのか」 や「彼らの問いにどのように応えるか」などのヒントがかかれてある。
  3. 「行動支援チーム」では、校内、チーム内を含む、彼らの職域で、チームの考え方や行動規範などに主にTA理論を取り入れている。
  4. 高校の牧師及びメンタリングチームのメンバー全員が廊下で会う全ての生徒及び 先生に「こんにちは」と挨拶する。

1989年5月のスクリプト誌にWilliamKriegerが以下のような記事を掲載しています。 「心理療法士をしていて、私は自分自身のことを溺れている人を水中から引き上げ救い出すライフガードのような存在に感じることがある。 しかし、どうして流れに逆らい泳ぎを教える人はいなのかと、時々疑問に思うことがある。」

「子ども、親、先生はじめ、関係する人に、泳ぎ を教えること」、更にはKriengerが言うように 「水の中で笑い、遊ぶことを教えること」。これはまさ しくTA教育者が目指すことです。 そして、泳ぎを学ぶプロセスはもっと彼らに有効的であると思います。

記事を読んでの感想(堀)

教育研修を行っていても「カウンセリング」から「コーチング」といった流れを感じています。 アメリカのエグゼクティブも、専属カウンセラーではなく専属コーチを雇うのが主流になっているようです。 今回の記事では、TAの積極的な活用といった点で、この流れと似ているなと思いました。 (多分、基本的な考えは同じで、応用の仕方が違うのだと勝手に解釈しています)

今回の記事で、中部に紹介されているいろいろな理論は、是非参考にしたいです。 TAの最終目標は「自律」であるということをとっても意識させられる記事でした。 (厳しい自律でなくて、自由で広がりのある自律なのかなとも勝手に思ったりしました)

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