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最新TA情報

第2号(2003.07.07発行)

最新TA情報 第2号です。 今回は少し遅れてしまいましたが4月号のスクリプトのトップページから、夫婦セラピーについての インタビュー記事を紹介します。

今回のテーマの中心となるのは、夫婦のシンビオシスの関係性です。

夫婦関係だけでなく、シンビオシスの存在しそうな人間関係(上司と部下、先生と生徒、医者と患者、母と子など)には、 いずれも参考になるテーマだと思います。

ちょっと長いお話ですが、是非読んで見てください。

シンビオシス(共生)の関係 Symbiosisとは

2人またはそれ以上の個人の間でその人達が、まるで一人のように感じ、考え、行動する関係を言う。結果として、一方のPとAが ディスカウントされ、もう一方のCがディスカウントされた状態となる。

図で表すと右のようになります。
お互いに独立した個人の関係ではなく、二人(それ以上で)、一人の役割を演じている関係です。

例)
母:考え決断するが、自分の感情は抑制
子:母の決めたことに従うだけで、自分では何も決められない

「Differentiation or Disinteration」
“違いを認識する それとも、崩壊する?” (要約:堀 監修:安部先生)

BILL: 今日はお二人同時に会えましたね!

ELLYN: 日曜の朝8時だからこそですね。

BILL: 本当ですね。でも、とても素敵なことです。あなた方お二人と話す機会を持てて、私は嬉しいです。ITAA(国際TA協会)の 「TA in Action」シリーズとしてリリースされたトレーニング・ビデオ中心に、いろいろとインタビューしたいと思っていましたから・・。 まずは、ビデオ「夫婦セラピー:夫婦のもめごとのための戦略と、受動的−能動的行動」を見て、興味を感じた点について2、3の質問をしたい と思います。一番印象的だったのは、夫婦間でのそれぞれの違いを認識しようとしている人たちがどれほど困難に陥っているのか、 また、この違いを認識する段階というのが、永く健康的な関係を持続させるのにどれくらい重要かということです。夫婦間の違いを認識する ことはどれほど困難であるかがよくわかります

PETE: セラピストにとってもです!セラピストの多くがいざこざを恐れています。 そのため、夫婦間の違いを認識するよう促進することで生まれるストレスや緊張を避けようとします。

ELLYN: 夫婦の多くが、シンビオシス(共生)の関係を維持しようとします。彼らは、シンビオシスの形式 である「争い−回避」の関係、あるいは、「対立―依存」の関係に、入り込みとどまる傾向があります。
 夫婦間の違いの認識は多くの理由のために回避されます。それは二人の関係が大きな不安と高い緊張につつまれた状態になるからです。 人は「私達は実際には異なる人々である」という現実と直面しなければなりません。目の前にいるあなたは、私がそうであろうと思っていた人、 あるいは、そうあって欲しいと思っていた人とは異なること。 私達は異なる考え、異なる感情、異なる興味を持っていること。私達は「 理想の関係」を持ってはいないことなどに気付ことになります。多くの人は一種の関係性の放棄としてこの違いの認識を経験します。その時期、 分離することに対しての極度の不安を持つことがあります。人々にとって、緊張状態の中で、シンビオシスの関係が崩れていく事に向き合うのは 困難なことです。
 違いを認識することは2つの要素を持っています。1つは自身の違いを認識することです。つまり、「私は誰か、私が望むものは何か」というこ とです。これは、自分自身の自律の感覚の開発をいいます。私が欲しいものは何か、考えていることは何か、感じていること、要望していること は何かを知ることです。クラシカル派のTAの構造分析がこのプロセスの中で役立ちます。 「汚染からの脱却」が正しくこのプロセスです。 第2は、パートナーとの違いを認識することです。これが成功すれば、夫婦は、お互いが離れ且つ、同時に一緒になったりすることができるキャ パシティー(器)を持つことになります。

BILL: それはまさにWinnicott氏の理論ですね。

ELLYN: はい、Mahler Winnicott氏が言っているように、それは発展への見通しが立ったことを表します。自分自身をいろいろとコントロールして いこうという意欲を意味しているのです。それは、実際には自己統制の能力(容量)や影響力に関係しています。

PETE: 夫婦関係に非常に苦しんでいる人は、自分がこの苦しみから逃れるためには、パートナーが変わるべきだというところにいつも解決法を 求めようとします。

ELLYN: はい、それは本当です。 でもその話題に行く前に、私の話を最後までさせてください。非常に多く のセラピストが、「違いを認識すること」と「個別化」を混同してしまい、夫婦に誤った診断を下してしまうのです。例えば、ある夫婦の一方が 「私は自分のしたいことをしています」と言ったとします。新人セラピストはそれを『違いを認識する』段階に入ったと思い込み、その人のことを、 現実以上に正常で、独立し、自律した夫婦関係を持っているとして支援するかもしれません。しかし、「私は自分のしたい通りにしている」というこ とは、必ずしも違いを認識することに対しての能力があることを反映してはいないのです。本当に違いを認識することされた夫婦というのは分離と 自己責任に対する能力を持ち、共に働き、お互いに支援することができます。

BILL: ですから、夫婦の違いを認識することというのは、セラピストがきちんと理解することと、夫婦が関係を 発展させることが両方できて可能になる、いわば非常に技術が必要なことなのです。現在のセラピーに関する文献では、シンビオシスに関しては 母親―幼児モデルおよび愛着―同調モデルについての記述が多く、夫婦の問題について、どれだけ重点が置かれるかというのは私にとって疑問です。 そうした文献は、理想的なシンビオシスを形成する夫婦の幻想も支援せず、且つ、夫婦が違いを認識することを抑制するのではないでしょうか?

ELLYN: この話題ついて議論しようと思ったら、3―4時間は必要になってしまうでしょう。私はそれを一言で 語ることができません。どの場面で感情移入を促進し、どの場面で違いを認識することを促進するべきかといった疑問については、ITAAのコ ンファレンスでのパネル・ディスカッションというような他のコーナーで取り上げるべきなのでしょう。

BILL: わかりました。それは、また別のインタビューの機会にしましょう! PETEさん、あなたは、 ビデオの中で、夫婦関係に非常に苦しんでいる人達、特に受動的−能動的な力関係を備えている夫婦を扱った仕事をする際に、クラシカル 派のTAの中のコントラクト(契約)が役に立たなかったという非常に興味深いことをおしゃっていましたね。

PETE: その通りです。数年間、ある夫婦を扱った仕事をして、私はその方法がとても困難であること を知りました。受動的−能動的な人は、自分が何を望むかあるいは、違いを認識するに対して強く防御をします。そのような人達は成長の 過程において、厳しい失望を何度も味わっており、自分の望むものを実際に手に入れることをあきらめてしまっています。それが彼らの パーソナリティの受動的な部分です。また一方で、彼らは自分達の恵まれない状態あるいは感情に腹を立てています。それが彼らのパー ソナリティの攻撃的/対立的な部分です。セラピーの最初に彼らから契約を得ようとすることは、フラストレーションを感じながらの演習 になります。これらが彼らのパートナーを失望させることにもなるのです。

夫婦関係に非常に苦しんでいる人は、大体において、「自分達夫婦が抱える問題は、私が持つべき問題ではない」という非常 に強い思い込みをしています。「私のパートナーが変わりさえすれば、自分達は問題を抱えなくてもいいのに」といったような、 陰険なビリーフを持っていたりすることもあります。それは、アルコール依存症の患者と結婚した人のビリーフにも似ています。 彼らは「私のパートナーが飲酒をやめたら、物事はうまくいくのに」と思っているのです。こうした夫婦が成功するためには、お 互いが自分のやるべきことを受け入れ、問題に対して積極的に関わる責任を持つことが必要です。彼らが混乱するのは、チャイル ドの自我状態レベルで、既に双方ともに相手が幸せ(健康な生活)になることに対して必要以上の非常に強い責任を感じているか らです。彼らは変化するためのコントラクトとして、「それはあなたの欠点です。あなたはそれを治さねばなりません。」とセラ ピストから聞くことになるのです。通常ではほとんど自己変革に大しての明瞭なコントラクトを彼らから得ることはありません。 セラピーを受けようとする夫婦は、シンビオシスを再建するといったところに治療後のゴールを設定するのがほとんどです。すな わち、ほとんどの夫婦のゴールはシンビオシスを目標としており、彼らは「私達に必要なのは○○です」「私達は○○と考えます」 「私達は○○する方法を知らない」というような表現をするのです。シンビオシスの結果を招くのは、この「私達」という表現の中 にあります。「私達は変わる必要がある/私達は学ぶ必要がある」というのは、もちろん「相手が変わる必要がある/相手が学ぶ必 要がある」ということを意味しているのです。

BILL: そうなると、コントラクトを成立させる代わりに行うことは何ですか。

PETE: 私が学んだのは、夫婦が私達のオフィスを訪れる前の最初の電話から始めることです。私はその電話 で「貴方達各自が、私のオフィスを訪れる約束の時間前に次の3つの質問に関して考えてきてほしい」と彼らに伝えます。1つは「私がより有 効なパートナーであるために行うべきことは何ですか?」2つ目は「それらを行うことは、私にとって難しいのは何故でしょうか?」3つ目は 「質問1と2を行うためには、どれくらい強いモチベーションが必要ですか?」ということです。

私は、「何故あなたはここに来たのですか」とか「あなたは何がしたいのですか」という質問は絶対にしません。というのは、お互いが 相手に対しての不平・不満をくどくどと話すだけだからです。そして、そんなことを尋ねたために、私は行き詰まってしまい、次に、あなた 達には前述された欲しいものを手に入れる事はできないといった悪いニュースを彼らに伝えないといけないことになるのです。こうした質問 はプライベートの治療においては有効です。しかし、非常に苦しんでいる夫婦と作業をする際には、それらの質問は致命傷です。

BILL: あなたがTAを活用することが、どのように夫婦と作業をすることに影響を与えましたか?

PETE: 今でもTAは、私達が見てきたモデル中ので、夫婦の関係性をみるのには最も用途の広い手法だと 思います。TAとゲシュタルトの手法を組み合わせてみれば、夫婦と作業を行う上で、これ以上の基盤はありません。

ELLYN: TAは精神内部と系統だった思考を組み合わせている唯一のシステムです。私達は特に夫婦が違い を認識することするのを援助する際に、TAの多くの理論を活用します。それは、別れを避けている夫婦、あるいは争いを避けている夫婦には 非常に重要です。

BILL: 夫婦が違いを認識することするというのが困難であるといった話に戻ってきましたね。

PETE: 実質的に成長するということは、いかなる場合も、将来に対してのある量の確実性を放棄することが 必要です。非常に苦しんでいる夫婦はそのような状況と直面したくはありません。私達は、彼らが不安定さとリスクを許容することを学ばなけ ればならないと直接に言っているのです。

BILL: それは、至極当然のように思えます。行き詰まった夫婦、つまりは、悩むことも、寄り添って暮らすこ とも、交際を終わらせることも避けて通っている夫婦には、おそらくもっと真実に近いのではないでしょうか?

ELLYN: はい、確かにそうです。彼らは高度な葛藤−回避性の夫婦です。

PETE: 私は、変化を恐れている夫婦にはこう言います。「人は水に落ちるから溺れるのではありません。 人は水の中にとどまるから溺れるのです」。私達は変化については何も話をしません。その代わりに、しばらくの間、体験についての話を します。ただ、体験を味わってみて、少し調整を行い、何が起こるかを見ていたらいいんですと。

ELLYN: 夫婦が新しいことを試みる場合、すぐには二人の関係を補強することはできません。そのため、 彼らは古い習慣に戻りがちです。「それを試みましたが、何も起こりませんでした。」と彼らはいいます。その時には、私達は、練習といっ た言葉を暗に使ったります。貴方達はすぐに変化は見ることはありません。今やっているセラピーは、情緒的(感情的)な筋肉を発達させる 運動のような形式のものです。それには時間と練習が必要です。

BILL: あなた達の新しい本「私に嘘は言わないで」についてもお話ください。

ELLYN: 私達は、出版するために本を書きました。それは、この種の本をセラピストが夫婦セラピーを 促進するためにその夫婦に渡して欲しいと望んだからです。この本は真実を話すことについて書いてあります。というのも、夫婦の関係が、 相手を騙す、あるいは自分をごまかすといった嘘を基盤としていることが非常に多いからです。「愛している」という小さな嘘から大きな 詐欺に至るまでのすべてです。私達は「嘘に招かれた人」についても記述しています。このような人は、「親密な関係を欲しいけど、私が 聞きたくないことについては何も言わないで」というような自分自身の感情をコントロールすることに対しての真実や責任を相手が望まな いために嘘を招いているのです。私達は、自分に対する詐欺および相手への詐欺に対してのプレッシャーについて書いてきました。このテ ーマのよい例として、トレーニング・ワークショップの中でよく耳にする内容です、自分のパートナーがインターネット・ポルノに熱中する のを見つけたというお話です。インターネット・ポルノは世に蔓延しています。容易にアクセスでき、価格も手頃で、秘密性があります。 相手がポルノに夢中になっていると知った時、大体は次のようなことを言います。「二度としないと私に言って!」。そのような人は、こう した偽りのポイントや、苦悩といったものを関係性に変化を与える触媒として利用しません。「私に約束してください」というのは相手が隠 れることを単に招くだけです。それは実際には何が起こっているかについてお互いに話すというよりは嘘をつくことを誘因になります。

BILL: 新しいビデオおよび本の出版に加え、最近他に何か専門的な活動を行っていますか。

PETE: 夫婦との作業を数年に渡って学んできた全ての資料を ウェブサイト に 掲載することを始めていることを同僚に伝えたいです。 私達の学んできたものを私達の仲間に知ってもらいたいと思っているし、また、 非常にエキサティングしています。こうすることによって、人々が私達の資料を家庭であるいは現在進行中のセラピーに使用することができ るのです。このウェブサイトは、まだ完成していません。でももうすぐにできると思います。

BILL: それはすごいことですね。今回は、私と日曜日の朝早くからお話いただきありがとうございます。 とても面白い会話でした。

今回のゲストについて・・・
Ellyn Bader(PhD)とPeter・Pearson(PhD)はメンローパーク(カリフォルニア)にあるThe Couple Instituteの創立者および共同ディレクター です。お二人ともITAAの長年のメンバーで、その組織の中で様々な能力を発揮し貢献してきました。Ellynは1984-1985からのITAAの会長でした。 彼らとは以下で連絡を取ることができます。445Burgess Dr. Menlo Park, CA 94025,USA E-mail:drebdr@aol.com

記事を読んでの感想(堀)

「二人の関係を改善したい」と相談が、「相手にどうにか変わって欲しい」という内容が多いという指摘は、読んでいて「ドキッ」 としてしまいました。

「過去と他人は変えられない」というTA研究所の合言葉をいつも頭に浮かべながら、3つの質問を自分自身への問いかけに、 是非使っていきたいなあと思っています。

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